いよいよ7/7(木)、人見記念講堂を皮切りに、
全国11公演・8都市を巡る5年ぶりの
ジャパンツアーがスタートしました。
公演の様子をコンサートレポートで続々更新予定!!
詳しくは、こちらよりご覧下さい。
http://www.harmonyjapan.com/hj_blog/
私の祖父、”デューク・エリントン"は、彼の音楽において、すべての人々が参加することができるという気持ちを持っており、そのすべての人々を「MY PEOPLE」と呼ぶことにより、人種、肌の色、宗派、国
境を越えて、助け合えると信じていました。
今回のコンサートでは、希望や愛、蘇生、回復の力を必要とする人々に、捧げたいと思います。
祖父と父がこよなく愛した素敵な国の復興を願って・・・。
デューク・エリントン財団 音楽監督 ポール・エリントン
※ポール・エリントンは来日いたしません
1899年4月29日。
この日が何の日かおわかりでしょうか?
そうです。デューク・エリントンの誕生日です。
もし生きていたら今年で112才!!
同じ年に生まれた著名人は、
川端康成、ヘミングウェイ、ヒッチコック、ハンフリー・ボガートなどがいます。
また、誕生日が同じ4月29日な著名人は、
中原中也、岸田今日子、宝田明、ダニエル・デイ=ルイス、ジャズ評論で名を馳せた
“ヤスケン”こと安原顯、などがいます。
日本で4月29日と言えば昭和天皇の誕生日、つまり「昭和の日」ですよね。
普通だったら、お誕生日と言えば、おいしい食べ物とケーキが出てきて家族や友人たちが祝ってくれる・・・、そんなイメージでしょうか?
1969年に行われたデューク・エリントンの70才を祝う“お誕生日会”は、普通の人の想像を超える大きいスケールのものでした。
なぜなら、誕生日会の主催者がニクソン大統領で、会場がホワイトハウスで、誕生日プレゼントは、エリントンゆかりの豪華ミュージシャンによるライブと自由勲章授与だったのですから!!
当日、エリントンの誕生を祝うためならと、
デイヴ・ブルーベック、ハンク・ジョーンズ、ビリー・テイラー、アール・ハインズ、ポール・デスモンド、アービー・グリーン、J.J.ジョンソン、ミルト・ヒントン、ジェリー・マリガン、ジム・ホール、ルイ・ベルソン、一流のジャズマンが集結してセッションが行われました。
また、授与された自由勲章とは、アメリカ合衆国における文民向けの最高位の勲章で、受章対象者は、「アメリカ合衆国の国益や安全、または世界平和の推進、文化活動、その他の公的・個人的活動に対して特別の賞賛に値する努力や貢献を行った個人」です。
ジャズでアメリカのみならず世界中を元気にしたエリントンに相応しい賞ですね。
この日の演奏は、「1969:オールスター・ホワイト・ハウス・トリビュート」というCDで聴くことができます。
現在、デューク・エリントンが生み出した楽曲は様々なアーティストによってカヴァー されています。
あの美空ひばりもエリントンの名曲『A列車で行こう』をカヴァーしていたのはご存じでしたか?
美空ひばりと言えば、『川の流れのように』などで知られる日本歌謡界の大御所ですから、
ジャズのイメージはあまりないかもしれません。
しかし、このカヴァー、すごいんです。
彼女がまだ若かりし10代の頃の録音で、
1番は日本語で、2番は英語の歌詞で歌われています。
実に堂々と思い切りの良い歌いっぷり!!
ほれぼれする抜群のリズム感と躍動感!!
そして何よりとにかく“スウィング”しています。
聴いているだけで、「よーし、これからA列車に乗って旅立とう!」とウキウキ楽しい気分になってくるのです。
発音も堂々たるものです。
意外なことに、こんなに英語の歌詞をスラスラと歌いこなしているのに、実生活で美空ひばりは英語を話せなかったそうです。
よっぽど耳が良くて、直感が鋭くて、やっぱり“天才”なんでしょうね。
今聴いてもすごいのに、こんなカヴァーが1955年に発売されていただなんてさらに驚くばかりです。
是非一度お聴きになることをお勧めします。
“ジャズシンガー・美空ひばり”もとっても素敵ですよ。
数多くのスタンダード・ナンバーを生み出したジャズ界の偉人、デューク・エリントン。
彼の名前が本名ではないことは意外と知られていません。
“デューク”というのは彼のあだ名で、本名は、エドワード・ケネディ・エリントン(Edward Kennedy Ellington)と言います。
裕福な家庭で育ったエリントンは、幼少の頃から優雅な身のこなしとお洒落なファッションセンスだったため、友人から「公爵」を意味する“デューク”と名付けられました。
それがそのままステージに上がる時の名前になり、現在そのままデューク・エリントンの名前で親しまれているのです。
ちなみに、エリントンと同時代に同じビッグバンドのジャンルで大活躍したあのカウント・ベイシーの“カウント”は「伯爵」の意味で出生名はWilliam James Basieといいました。
名前っておもしろいですね。
私がシャープス&フラッツを結成した時の憧れの的であり、目標にしたバンドこそ、エリントン楽団でした。
当時、グレン・ミラーやベニー・グッドマンといった沢山のスウィングバンドはありましたが、いわゆる“リアルジャズ”と言えるのは、デューク・エリントン楽団なのです。
私たちジャズプレイヤーにとって、デューク・エリントンは、「ジャズの神様」であり、エリントン楽団を聴けば、ジャズの歴史を彷彿させます。
ぜひ、“今”のエリントン楽団を聴いて欲しいですね。
あの当時のエリントン・サウンドが戻ってきましたから!
シャープス&フラッツ リーダー 原 信夫