町田市にある白洲次郎さんと白洲正子さんが住んでいた家を見に行ってきました。
最近NHKで二人の人生がドラマ化されていましたし、雑誌やテレビでも
よく取り上げられているので御存知の方も多いと思います。
白洲次郎さんは、占領下に吉田茂首相をサポートした
“従順ならざる唯一の日本人”と呼ばれた人で、
晩年までポルシェを乗り回したお洒落な人であったことも知られています。
白洲正子さんは、そんな次郎さんの奥様で、かつ、骨董品、着物、お花、お能、
日本の文化、さまざまなことに精通し名随筆を残した人です。
最初にこの武相荘を訪れたのは大学に通っていた時でした。
北海道で大学生だったわたしは、ヴィジュアルブックや雑誌の特集で見かけては
思いをはせ、「東京に行けば白洲正子の家が見られるのか。よし、行ってみよう!」
と、ある年の夏に旅行を兼ねて行ったのでした。
今回は二度目になります。
肝心な家はというと、茅葺き屋根の素朴な感じで、庭にはさりげなくお花が生けてあったり
石仏立像があったり、決して派手ではなく、これ見よがしでなく、
シンプルで自分が良いと思ったものだけを置くといった感じでした。
食器や家具など、生活用品なんだけれども、どことなく「魂」が感じられるもの
ばかりで、きっとつくり手の思想や情熱が注ぎ込まれているのだろうと思いました。
そういうものは時間が経っても色あせないのでしょう。
ショップでは、ポストカードと正子さんが愛用していたという
沈香を購入しました。
「博物館で解説を読み、眺めているだけじゃだめ。身銭を切って買って、
自分がものと向き合え」といった意味の言葉を残した正子さん。
「眺める」のではなく「向き合う」。
お金を出してそれを実際に自分で使ってみる。
いいですよね、この姿勢。
生活の中に美が息づいている、そんな家でした。