ドイツの振り付け家ピナ・バウシュが亡くなりました。
すでに新聞などで報じられていますからご存知の方も
多いかと思います。
専門的なことはよくわかりませんが、すごいなあと思う
アーティストのひとりだったので彼女の死が本当に残念
でなりません。
そもそもダンスのことなど何も知らない私が、コンテン
ポラリーのダンスに興味を持つようになったのは、
モーリス・ベジャールとこのピナ・バウシュの存在があった
からで、このふたりの存在がなければ私はいまでもダンスに
興味を持つことはなかったのではないかと思います。
私は幸運にも、彼女が率いるヴッパタール舞踊団を3度生で
観る機会に恵まれました。
知識人の注目も高いようで、某超有名写真家、評論家、詩人、
『ピナ・バウシュ中毒』というタイトルの本を出しているほど
大ファンな楠田枝里子さんなど、著名な文化人がたくさん
駆けつけていて客席もずいぶんと華やかでした。
初めて観たときの衝撃を今でも覚えています。
圧倒的な身体表現と緊張感と作品を貫いている彼女の知的で
揺るがない精神と・・・・・・
直感的に「これは一流だ!!」と思いました。
総毛立つ、ってこういうことだと思います。
技術を「すごいでしょ!」と見せつけるのではないんです。
もっともっと精神的なもののように感じました。
単純に、ピナ・バウシュと彼らは心からダンスが大好きなのだろうと。
本当にまず単純に思いますね。
その上で鍛錬やテクニックがある。
(どんなにハイレベルの演奏だったりパフォーマンスであっても
「これって根っこは自己顕示欲なのでは」と感じるとスーッと
気持ちがさめてしまうことがあります。
「私を褒めて!!」っていうのではなく、やっぱりダンサーなら
まずダンスへのひたむきな愛、ミュージシャンなら音楽への尊敬、
まずそれが感じられないと。)
彼らの「春の祭典」「カフェミュラー」を国立劇場で観た時、
衝撃的過ぎて、見終わったあとの気持ちの整理がつかなくて
一体自分の眼前でなにが起こったか確かめたくて、数日後に、
もう一度同じ内容を観に行ったことも今では懐かしく思い
返されます。
写真はその時に記念に買ったパンフレットです。
チケット代S席15,000円×2回は大金でしたが、あの空間、
あの興奮はその時だけのもの。
人との出合いと同じで一期一会で、お金がどうと言ってられない
んですよね。
良き出会いでした。
ピナもベジャールも亡くなってしまい、時代がひとつ終ったの
かもしれません。
フォーサイスなのかイリ・キリアンなのか、はたまた別の人なのか
わかりませんが、また、私のようなダンスのことを知らない人をも
熱狂させる振付家に出会いたいです。
ピナ、ありがとう。
そして安らかに・・・・・