藤井郷子さんと田村夏樹さんのトーク&演奏風景上映のイベントを
渋谷アップリンクで見ました。
実は彼らのことは以前から気になっていました。
私はよく新聞の音楽欄をチェックしていますが、それは今年2月の
彼らのライブ評が朝日新聞と毎日新聞に出ていたのを見つけた時のことでした。
朝日新聞が藤井さんと田村さんのことを
「”驚き”を心行くまで満喫する、そんな稀に見る5時間!」
と書けば、
毎日新聞も
「藤井郷子ほど海外での高い評価に反し、日本で知られていないピアニスト・
作曲家もいないだろう」
「国籍を名指せないサウンドが、聴き手を思考のラビリンスへと連れ去る」
「音の重なりもすばらしいが、それ以上にズレがすばらしい」
「大満足。」
と、もう諸手あげて大絶賛していたのです。
通常、新聞のライブ評ってもっと冷静な語調だと思っていたけれど・・・・
そもそも超有名アーティスト(例えばホイットニー・ヒューストンなど)でもな
い限り、大手新聞紙の取り上げるライブ評がかぶること自体が珍しいですし、
それに2紙がそろって彼らをこんなにも褒めている。
普段あまりメディアで目にすることのないお名前だけど・・・(すみません!)
となんだか不思議な感覚がしました。
以来、よっぽど素晴らしいライブだったのだろうなあ、一体どんな人たちなのか、
どんな音楽の人たちなのか、一度私も聞いてみたい、
そう思い続けていたのです。
それから数ヵ月後のある日。
知人から「あなたが聴いてる音楽とは違うかもしれないけど、たまにはこんなのも
いいんじゃない?」と紹介されたのが、まさにあの時の藤井さんと田村さんのこ
のトークイベントだったのですからこれはもう即決して行ってきました。
そして、この日上映された演奏はというと・・・・・
やはりすごかった。
もはやすごいとしか言いようがなく、かなり引き込まれました。
「フリー」なんですけど「的確」。そもそも無駄がない。
「フリー」なんですけど決してお客さんを置いてゆかない。
自分の音がどこに在るのかの言わば“動体視力”の鋭さ、
名人が書く習字の文字のように半紙の“余白”を計算しつくしているあの感じ。
彼らは一流のプロフェッショナルだと思いました。
これは改めてキチンとライブを観に行かなくては。
しかも、演奏はこんなに凄まじいのにトークでの素顔のお二人はとても気さくで
自然体なんですよ。
これには更に驚いてしまいました。
特に藤井さんはあのフリーで激情の演奏スタイルからは想像できないくらい
謙虚で理性的で。
それにいつもニコニコ、笑顔が素敵な優しい女性なのです。
(本当にすごい人ってむしろこうなのですね)
田村さんなんか「僕らのライブはお客さんが集まらない。僕ら“向かうところ客
なし”なんで!あはは」なんて自虐的に笑い飛ばすし・・・・・・
世の中にはこんなすごい方たちがいるのか、と頭が下がる思いがしました。
ジャズの裾野は広い。
日々勉強です。