2月13日、音楽界最高の栄誉とされる「第53回グラミー賞」がロサンゼルスで発表されました。
今年は、日本人の受賞ラッシュに沸きました。
クラシックピアニストの内田光子(62)を初め、ロックギタリストの松本孝弘(49)や、
ジャズピアニストの上原ひろみ(31)、琴奏者の松山夕貴子の4名。
特に松本孝弘さんの受賞は、ポップス部門での日本人初受賞という快挙。
受賞発表式での松本孝弘さん、「日本人のギタリストとして大変光栄です」というコメントは印象的でした。
恐らくそれは、日本人初という記念すべき受賞を受けてのコメントだと思いますが、
私にはそれ以上に、私たち日本人に勇気を与えてくれた4名の日本人受賞者を代表してのコメントだったのではないかと思っています。
日本人が世界で活躍をし、認められるという事例は過去も現在も決して少なくはないですが、
私の印象ではどちらかというと、医療や学問などの研究分野であったり、
もしくは社会貢献であったりというところが多かった気がします。
いわゆる文化芸術やスポーツでは(もちろん該当する人もいますが)、他の分野に比べると少ないのでは。
というよりも、突発的に輩出されることはあっても、継続的に輩出されてはいないのではないか。
これが10年前までの私の印象でした。
それがスポーツの分野では、ここ最近は印象が変わってきました。
あくまで個人的な記憶で挙げますと(笑)
イチロー選手を初めとする大リーグで活躍する野球選手。
恐らく彼らに憧れて野球選手を目指すアメリカ人も沢山いるでしょう。
もはや日本人選手無しでは語れないフィギアスケート。
荒川静香選手の金メダルがまだ5年前の出来事とは信じられないですね。
余談ですが、トリノ・オリンピック当時私は観光でイギリスにいて、
金メダルの瞬間はホテルのテレビで見ました。
次の日になって、その日会う約束をしていたイギリス人から、「まずはおめでとうと言わなきゃね。」と最初に言われたのは印象的でした。
自分が褒められたかの様に嬉しかったものです(笑)
あとは、中田英寿選手から始まった、日本人サッカー選手の海外挑戦。
特に昨年以降の活躍は、目まぐるしいですよね。
一人ではなく、後に続け!と言わんばかりに継続的に海外での挑戦を果たしているのが、
最近の日本人スポーツ選手の様な気がします。
つまり何が言いたいのか。
音楽でもその様な流れが来ればいいのに!と願ってるのです。
世界に認められた日本人の音楽家は沢山いますが、やはりどうしても突発的な印象が拭えません。
個々人は認められていますが、日本全体の音楽文化レベルが高いという印象には繋がらないのです。
その様な状態になるためには、継続的に優れたアーティストが輩出されること。
これに限るのではないでしょうか。
今回のグラミー賞で4人の日本人が受賞したというニュースは、その意味で印象深いものでした。
日本人には音楽の分野で活躍している人がこんなに沢山いるんだ。
という印象に繋がるものだからです。
受賞者の一人、内田光子さんが、84年に小澤征爾さんが指揮するベルリン・フィルハーモニーとの共演で
ロンドン・デビューを果たした時のことをこの様に回想しています。
「当時、ソリストも指揮者も日本人というのはあり得ないこと。」
世界ではそれほどまでに珍しい存在であった日本人アーティストが、徐々に珍しい存在ではなくなってきている。
今回のグラミー賞が、更なる日本の音楽文化の成長に繋がることを願っています。
もちろん、私たちもそのことを目指して、より良いコンサートの制作に全力を尽くしたいと思います。
受賞されましたアーティストの皆様。
本当に、おめでとうございます。